乗法公式は暗記しない!
乗法公式って暗記していますか?
「乗法公式って何だっけ?」という人のために、中学3年生で学習するものを以下に書き並べてみます。
①.(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab
②.(x+a)2=x2+2ax+a2
③.(x-a)2=x2-2ax+a2
④.(x+a)(x-a)=x2-a2
ズバリ言います。
乗法公式は暗記しなくても良いですよ。
参考書や問題集では、「公式を暗記して、それに数字を当てはめて計算しよう。」という指示になっていると思います。
数字を当てはめるだけで答えが出るため、便利なように感じるはずです。
難しいと感じることも少ないでしょう。
しかし、それが落とし穴です。
無味乾燥な公式を途中式もなしに暗記しようとしても、どうしても混同してしまいます。
特に多いのは③と④の公式の混同です。
このようなことになってしまうのは、なぜこの公式が成り立つのかを理解できていないことが原因です。
途中式を書いて、しくみを理解する!
分配法則を用いて式を展開すれば、しくみが理解できます。
そして、しくみが理解できれば無理に暗記しなくても、使いこなせるようになります。
そこで、乗法公式のしくみを具体的な問題で、途中式を書いて考えてみます。
①.(x+4)(x-6)=x2-6x+4x-24=x2-2x-24
この場合、(x+4)と(x-6)のどちらにも x が含まれているため、式を展開したときに-6xと+4xという同類項ができます。
そして、それらの同類項をまとめることで-2xが出てきます。
そのため、(x+4)(x-6)=x2-2x-24となります。
②.(x+3)2=(x+3)(x+3)=x2+3x+3x+9=x2+6x+9
(x+3)2は(x+3)(x+3)を累乗の形でまとめて書いているものです。
(x+3)2=(x+3)(x+3)であることがわかれば、①のときと同じように同類項(この場合は+3xと+3x)ができ、それらをまとめると+6xが出てきます。
そのため、(x+3)2=x2+6x+9となります。
③.(x-3)2=(x-3)(x-3)=x2-3x-3x+9=x2-6x+9
これも②と同様、(x-3)2=(x-3)(x-3)であることがわかれば、①のときと同じように、同類項(この場合は-3xと-3x)ができ、それらをまとめると-6xが出てきます。
そのため、(x-3)2=x2-6x+9となります。
④.(x+5)(x-5)=x2-5x+5x-25
これも①と同じように展開したときに、-5xと+5xという同類項ができ、それらをまとめると0になります。
それにより、(x+5)(x-5)=x2-25になります。
このように考えてみると、乗法公式のどれもが、同類項に注目すれば「なぜそうなるのか?」を理解することができます。
同類項に注目すれば暗記は不要!
「なぜそうなるのか?」を理解することで、どの乗法公式も同類項に注目すれば、どれも同じように考えることができることに気づくと思います。
同類項ができることに気づくことができれば、乗法公式を使わなくても式を展開することができます。
つまり、ここで重要なのは乗法公式を覚えることではなく、各項の文字をしっかり把握し、同類項に注目することです。
同類項ができることに気づくことができれば、乗法公式を使わなくても式を展開することができます。
そして、同類項に注目して式を展開することに慣れてしまえば、それを逆に考えることにって因数分解することもできます。
それゆえに、乗法公式を暗記する必要はありません。
同類項ができることに注目することで、式を展開したり因数分解することができるため、乗法公式を無理して暗記することに時間をかけるのではなく、同類項に注目しながら、どんどん問題に取り組むようにしてください。